帰   国


   ベトナム、ダナン上空を越えると後一時間でドンムアンバンコク国際空港に到着する。ラオスのくねくねくねった道路が見える山村の上空を通りタイ国内に入る。高度を下げ着陸態勢に入る前に大きく左旋回する。左下に大きな人造湖が見えてくる、この湖は柵に囲まれ軍隊が管理している。その先の道路を隔て高速道路に繋がった薄緑の屋根で構成された団地の中に我が家のタウハウがある。
 上空から見ても結構広い。正確に計ったことはないが、入り口から我が家まで4Kmは有るかも知れない。夜になると我が家の近くに食べ物屋の屋台が7〜8軒店開きする。雑貨屋が5〜6軒在るし、野菜や果物、食料品、水等は車で売りに来る。歩いて5分以内で生活が出来てしまう。

       

 お父さんのお葬式が終わってNUTが寂しがるからとラオスから一緒に来て我が家に居候しているチャンは、タイランドに滞在出来る2ヶ月を過ぎているのに一向に帰る気配がない。
 初めはお客様だと思って居候させていたが、何時まで経っても何もしないチャンにNUTは不満を持つようになっていた。普通タイランドでは居候は当たり前でもお世話になっている家庭の家事や子守等進んでやることに成っている。それが此処の常識であったわけで.......
 暫く観察してみる。掃除、炊事、洗濯みんなNUTがやっている。手伝うのはお金を渡して買い物を頼んだときだけである。

      

 タイに入国して3ヶ月近くに成っていたある日ラオスから電話があった。田植えが近いから帰れとのことで、なんだかんだと理由を付けていたがお金を稼いで帰る訳では無いので仕方なく帰ることにした。
 NUTもお父さんのお墓参りとお母さんに会うために一緒にラオスに行くことにした。お兄さんが運転するカローラで金曜日の夜中にバンコクを出発した。翌土曜日のお昼にNUTはラオスに入国したが、チャンは1ヶ月オーバー分の罰金(裏金)一日200バーツの30日分で6000バーツを支払うか監獄へ入るか引き返すかの三者択一に迫られ結局引き返した。

       

 NUTは半日のラオス滞在を終えタイの実家に戻ってきた。パスポートにタイの出国とラオスの帰国スタンプは押される事無く。チャンは夜船でメコン川を渡り帰国する事にしたらしい。多分そのパスポートはもう永久に使えないと思われるのだが.....此処でもマイぺンライの世界があった。



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